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メンテナンス・トラーフ
















――西暦2036年。
第三次世界大戦もなく、宇宙人の襲来もなかった、2013年現代からつながる当たり前の未来。
その世界ではロボットが日常的に存在し、様々な場面で活躍していた。


神姫、そしてそれは全高15cmのフィギュアロボである。
"心と感情"を持ち、最も人々の近くにいる存在。
多様な道具・機構を換装し、オーナーを補佐するパートナー。

その神姫に人々は、思い思いの武器・装甲を装備させ、戦わせた。
名誉のために、強さの証明のために、あるいはただ勝利のために。

オーナーに従い、
武装して戦いに赴く彼女らを、人は「武装神姫」と呼ぶ――




「「乾杯っ!!」」
深夜、とあるマンションの一室で、2人分の大きな声が木霊する。


「ま、ボクの実力とマスターの采配をもってすれば、この程度ならそう難しくはないって知ってたけどね!」
開口一番、「そう難しくない事」を、大層自慢気にまくし立て始めたのは、少女の姿をした小型ロボットである。

ツインテールに結わえられた水色のセミロングヘアーに、勝気な印象を持たせる、赤い瞳。
淡い褐色の肌を持つ、いわゆる『悪魔型:ストラーフ』と呼ばれる種の神姫だ。

非戦闘時ということもあってか、普段纏っているいかつい背部アームや脚部の強化装甲等の武装の類は一切装備しておらず、
現在の素体や服装は、マスターの趣味からかそれとも彼女の好みなのか、球体関節にさえ目を瞑れば人間のそれと大差ない。

高らかに笑うその姿は、身長という一点を除けば、年頃の少女と大差ない様に見えた。

「いやいや、ホントにお疲れ様だストラ!まさか俺の所から、神姫バトルSクラス資格保持神姫が出てくるとはなぁ」

そう嬉しそうに語るのは、その神姫ストラの『マスター』の青年。


彼女と彼は、今まさに祝勝会の真っ最中であった。

「あっはっは! でしょでしょぉ? もっとボクを褒めても良いんだよマスター?」

「おいおい、あんまり調子に乗るんじゃないぞ、ここから先は、対戦相手もぐっと強くなるんだからな」

そう言うマスターの声も、心なしか昂ぶりを隠し切れないようであった。
それもそのはず、今日の神姫バトルでもぎ取った一勝は、ただの一勝では無い。

神姫バトル公式戦で、規定された試合回数の中で高い勝率を出したごく少数の神姫にのみ送られる最高の栄誉『グレードSクラス神姫』。
今日のバトルでの勝利は、ストラの勝率を、その規定の勝率に到達させたのだ。

「全く、初めてマスターがボクを起動したときは、『ストラ』だなんて超テキトーな名前付けてくれちゃってさ、
どんなふざけた奴なのかと思ったけど……結果的には、マスターのお陰でここまで来れたんだし、今となっては感謝してるよ」

「そう言うなって。呼びやすいし良い響きだと思ったんだよ、俺は」

苦笑いと共に返ってくるその声からは、反省の意思は微塵も感じられない。恐らく心底この名前を気に入っているのだろう。
だが、彼はそれを話の種にして、今日の『本題』を切り出した。

「よーし、それじゃそんな名前の可哀想なストラに、今日は俺からのスペシャルプレゼントだ」

唐突に放たれたその言葉に、ストラは素っ頓狂な声を上げる。

「えっ……マスターに、そんな気の利いた物を準備する甲斐性があったの……!?」

喜んでいるのか、本気で驚いているのか、自分でも判っていないような表情だ。

「甲斐性ってお前な……大丈夫だよ。プレゼントは物じゃないからさ」

「物じゃないって、それじゃ甲斐性無しのマスターが、一体ボクに何をプレゼントできるっていうのさ?」

「最近全くのご無沙汰だったろ? メンテナンスだよ、メンテナンス。
お前にはこれから、もっともっと頑張って貰わなきゃならなくなるからな。指の一本の関節に至るまで、俺が完璧に整備してやるよ」

マスターのその言葉に、ストラの顔がぱっと明るくなる。

「なるほど、流石ボクのマスターだね! 給料は少なくても、ボクを喜ばせる方法を良く心得てるってやつだ!」

「お前はいちいち一言多いなぁ。ほら、良いからさっさと部屋行くぞ」

「りょーかいマイマスター! こーいうの久しぶりだし、マスターの整備の腕が鈍ってないか、ボクがきっちり見てあげるよ!」

そんな他愛ない会話をしながら、2人は奥の部屋へと進んでいく。
その時少しマスターの顔が悪そうに歪んだのを、ストラは見逃していた。






2人が部屋に到着する事30分。ストラは作業机に腰掛けて、足をぶらぶらさせながら暇そうに待機していた。

ストラが着ていた服などはメンテナンスの為に全て脱がされ、すぐそばに投げ捨てられる様に放置されている。
傍から見ているとかなり危ない光景だが、基本的に神姫は人間と違って、肌を晒す事に余り抵抗がない。
こういったメンテナンスの都合もあり、そういった様に作られているらしい。

何やらマスターは、部屋に来てから延々と楽しそうに準備をしているのだが、彼女には彼が何をしているのかさっぱりの様子である。


「ねぇマスター、まだ準備終わんないのぉ?」

「焦るな焦るなって。流石にこっちもいろいろと準備があるんだよ」

メンテナンスと言っても、基本的には神姫の身体と手足を切り離し、さっと磨いて、グリース等を関節部分に染み込ませるだけだ。
そんなに時間を掛けて準備するものがあったかと、彼女は怪訝な顔をして質問をする。

「そんなに準備するもの、あったっけ?」

「今回は特別だから、色々と、な」

「へぇ、マスターにしちゃ自信あり気だね。そんなにボクに期待させたいのかな?」

待っているだけというのが退屈だというのは事実だが、それもこれも全部自分の為に行われている事だと知っている以上、ストラもそう悪い気分ではない。
口の端が勝手に吊り上るのを懸命に抑え、皮肉を交えて誤魔化しつつ待っていると、マスターから声が掛かる。

「あぁ、存分に期待してくれて構わないぜ、っと。さて、準備も出来たし、ほら、ちょっとこっち来いよ。とりあえず手足ぶっちぎるから」

「そのぶっちぎるって言い方止めないかなマスター……これから乙女の身体をこねくり回そうって時に、デリカシーの欠片も無いよ、それ」

「お前のその言い方もデリカシーの欠片も無い様に思うんだが……」

と、悪魔型神姫とそのマスターらしい、粗雑で若干下品な会話をしながら、マスターはテキパキと手足を身体から切り離していく。

「ま、いーや。手早く頼むよ、マスター……んんっ……!」

「相変わらず解体する時に変な声出すよなぁ、ストラ」

「うっさいなぁ、出る物は出ちゃうんだから仕方ないでしょ。人間のマスターには解らないよ、どーせ」

「はいはい、御託はそれで終わりだな? それじゃ始めるぞー」

そして、全てのパーツが切り離された所で、本格的にメンテナンスが開始される。
手足は壊れない様に、作業用の小箱に移された。

「うーん、なんていうかこの感じ……本来あるはずの手足がないっていうのは落ち着かないなぁ。きっちり感覚はある分、余計に変な気分だよ……」

小箱の中にあるストラの手足が、がちゃがちゃと『繋がってますよ』アピールを繰り返す。

「気色悪いからあんまり動かすなよストラ。そんなに長くやる訳じゃないから安心しろ。精々2時間程度で終わるさ」

「ま、マスターが相手なら変な事される事も無いだろうから、心配はしてないんだけどねー」

「何か微妙に失礼な事言われてる気がするが…まぁいい、始めるぞ。まずはボディからかな」


マスターは作業箱から綿棒を取り出し、ストラのわき腹の辺りを、さわさわと撫でる様に触り始める。

本来、いつも通りに行われる作業の一番最初。
その作業の一番初めの部分で、ストラの肌は、その異変を敏感に感じ取った。

柔らかく繊細な綿が彼女の身体を一撫ですると、何とも言えないむず痒い感覚が、彼女の身体を淡い電撃の様に走り抜けたのだ。

「ひゃぁっ!?……ちょっと、くすぐったいって、マスター!」

驚いた様に目を見開く彼女。
もちろんそんな感覚を長時間許容できる訳も無く、ストラは胴体だけの身体をぴょこぴょこと弾ませながら、マスターに抗議する。

「あぁ悪い悪い、お前の触覚センサー切るの忘れてたぜ…… ちょっと待ってな、今設定変更してやるから」

「もう、びっくりさせないでよ……!ボク、くすぐったいのはホント苦手なんだからさぁ」

少し驚きこそしたが、どうやら設定を少しミスしただけの様子だ。
マスターにしては珍しい事もあった物だと思いつつも、重大なトラブルがあったわけではないという事実に、ストラは少し安堵する。

その、彼女の安堵した瞬間を見計らったかの様に、マスターが何か言葉を口にした。
一瞬とは言え気の抜けた状態であった彼女には、その言葉の意味をすぐには理解できなかったのも無理はなかった。


「なーんて、な。お前には今日は、こ の ま ま メンテナンスを受けて貰う!」


少し遅れてその言葉の意味を理解するも、彼女には、未だ主の意図が理解できない。
何故『このまま』なのか。そうしたら……彼女がその結果どうなるか、程度の想像が出来ないマスターでは無いはずだ。

「えっ……!? なんで……! どういうことだよ! マスター!」
自分の置かれている状況を、主の意図を、改めて確認する為に、ストラはマスターへと問いかける。

「どうしてって、日頃の『お返し』だよストラ。
 日頃からちょっと可愛がってやればすぐに調子に乗りやがって……自分のマスターを甲斐性無しだの糞マスターだの! よくも散々コケにしてくれたなぁっ!
 とは言ってもお前もやはり俺の大事な神姫だ、俺からも何か『お返し』をしてやりたかったんだが、中々妙案が思いつかなくてなぁ……」


ここにきて、彼女はようやく状況を理解する。

落ち着いて考えれば、あのマスターが自分に、無条件でこんな施しをするなどあり得ない事だったのだ。
何か裏があるのは半ば明白だったにも関わらず、久しぶりに主人にたっぷりと構って貰えるのが嬉しくて、舞い上がって判断力が鈍ってしまっていた。

その結果、手足の自由を奪われて、何の抵抗もできない身体を、恐らく、自分を今から存分に辱めるつもりであろう者の眼前に、無防備に晒してしまっている。
これから何をされるのか、その想像は自由に出来こそすれ、それらの全てに対して一切抗うことはできず、ただひたすらに、受け入れる事しか出来ないのだ。

そして、遅かれながらその事実に気づいた今となっては最早、自身をこんな状況に追いやった主犯を、忌々しげに睨み付けることしかできない。

「まさかっ…ふざっ……! 騙したなぁ! マスター!!」

この時になって、ストラは猛烈に後悔していた。

その顔を満足げに眺めたマスターは、自身の昂ぶりを抑えようとする素振りもなく、矢継ぎ早に言葉を続けていく。

「こーの間抜け神姫めがっ! ようやく悟ったかっ!
 今回の『プレゼント』を思いついたのもつい先日だったんだがな。まさかこんなに早く機会が巡ってくるとは、俺も想定外だったよ」

次々と自身に向けて放たれる主の言葉を理解するにつれ、ストラの顔が徐々に青ざめ始める。
こう見えても、ストラもマスターとは長い付き合いだ。次に飛び出してくるであろう言葉が簡単に予想できてしまうのは、今の彼女にとっては苦痛以外の何者でもなかった。

「というわけで、今日はお前を、『この状態のまま』隅から隅まで、完璧に磨き上げてやる事にしたッ!
 その素体に一切の傷を付けることなく、手っ取り早く! 徹底的に! ストラ、お前に改めて『主従関係』ってモンを叩き込んでくれるわッ!
 あぁ大丈夫だ、安心するといい……! お前のメンテナンスそのものは、俺が責任を持って、きーっちり仕上げてやるからよ!」


一通り物凄い速度で喋りきったマスターは、息を切らしながら、メンテ道具の入っているであろう工具箱の中から、次々と『整備用』の道具を取り出し始めた。


それは、日常的に生活でも使われるであろう、至って平凡な道具の数々。
だが、今、全ての状況を理解した彼女にとっては、その一つ一つが、自身を矯正、もとい屈服させる為の、ろくでもない道具だという事が容易に想像できた。

それらの、拷問具ともいえるそれを一通り準備し終えたらしいマスターは、改めて彼女の方に向き直り、煽る様な口調で、ストラに提案を持ちかける。

「あぁ、良し。口にしたら大分すっきりしたなぁ。さて、今ならまだ許してやらん事もないぞ? ストラ……
『今まで暴言愚行の数々、大変申し訳ありませんでした。今日からは心を入れ替えて、誠心誠意、貴方様の為に尽くします。私の敬愛する偉大なマスター様(はぁと)』
と言えるのであれば、今から普通のメンテナンスに切り替えてやらん事もないぜェ……?」


ここが、恐らく最後の分水嶺であろうことは、ストラも重々承知していた。
ここで、主の先に言った言葉を復唱すれば、なんだかんだ言いつつも、甘いマスターの事だ。きっと自分を許してくれるであろうという事も、はっきりと理解していた。
この上なく魅力的な提案。少しばかりプライドを捨てて主に媚びれば、きっと、それで全て円満に解決するのだ――


――それらの全てを理解しながら、ストラは自身の敬愛する、そして軽蔑すべきマスターに、毅然と言い切る。

「ふざけんなよ馬鹿マスター! 誰がアンタのそんなロクでもない頼みなんか聞いてやるもんかぁっ!」

この上無く魅力的な囁きを、最後の命綱を、自ら切って捨てる事で、この状況を作り出した人間に一矢でも報いる。それがストラの最後の決断だった。
ストラには、自身が誇り高い悪魔型神姫だという意地があった。ちょっとした小悪魔の囁き程度で堕ちるなど、彼女の矜持が許さなかったのだ。

「ま、どーせしょーもないマスターのしょーもない頭で考えた『プレゼント』なんて、ボクにとっちゃ何でもないっていう事を教えてあげるよ!
 マスターも、ボクをずっとこのままにしておく訳にもいかないよねぇ?この後にもたっぷり神姫バトルが控えてるんだし!
 でもって、ボクは今回と同じ手には二度引っかかるつもりもない。逆に言えば、これはマスターにとっても『最後のチャンス』だ。そこの所、理解してるよね?
 つまり、この二時間さえ耐え切れば、自動的にこの勝負はボクの勝ち! このボクに喧嘩を売った事、あとで存分に後悔するんだねマスター! 謝るのはアンタの方だ!」

その言葉を言い切ったあと、呆けた表情で自身を見つめるマスターを見て、少しばかり溜飲が下がった気がした。
どうやら今の発言はかなり効いたらしい。まさかこの状態から反撃を試みてくるとは、彼も予想していなかったのだろう。
驚いた様な表情を浮かべた後少しして、マスターの額に、解りやすく青筋が立ったのを、ストラは見逃さなかった。


「そうか……そいつは残念だよストラ。お前なら解ってくれると思ったんだが……覚悟は出来てる、って事だな?」

「覚悟するのはマスターの方だよ?ボクにこんな事したんだ。後でパーツ購入代で、その少ない給料を吹っ飛ばしてやるから、その時になって後悔しないようにね!」

「OKだストラ、了解したぜ。んじゃ、お前のその覚悟、どこまで続くか、見せて貰おうじゃないか……!」





そう小さく呟くと、マスターは再び手元にあった綿棒を手に取り、ストラの無防備な脇腹にすっと、添える様に構える。

覚悟していたはずのストラから、ひぅっ、と驚いた様な、情けない声が上がるが、それは一瞬のこと。
マスターは、崩れかけた表情を懸命に繕って自身を睨む様な瞳で見てくるストラを満足げな目で眺めた後、その脇腹を、非常にゆっくりと、優しく撫で始める。

「んっ…!? ふぅぅっ…! こ…こんな…ぅくっ…事でぇっ…!」

ストラは、さらさらと、さわさわと、優しげな擬音の出そうなその責めに対して、
ここから先、決してこの主を悦ばせまいと、強く歯を食いしばり、身体の奥から湧き出してくる、歪んだ笑いの衝動を必死に噛み殺す。

「ぅふっ……なん…だよっ……やっぱり全然大したこと…んんっ……無いじゃ……くふふっ…!」

「そっかそっか、そいつぁ良かったよ。 その調子で頑張ってくれよぉ……あと、『1時間56分と43秒』な?」

それは、先ほどの不意打ちに比べれば遥かに弱い刺激で、本気で我慢しようと思えば、決して我慢できない事もない程度のレベルの責め。
だが、先ほどのアクシデントを装ったものとは違い、明確にストラを笑い狂わせようとする、強い意思の篭った、本当の『くすぐり』であった。

「ぅひぃっ……!? ぅうんっ…こっ……このっ……ううぅくくぅふふふッ!」

その悪意は、それを体言した綿棒の動きと同じ様に、ゆっくりとねっとりと、そして確実に。
ストラの心と身体から『耐性』と『理性』を削り取っていく。

「くそぉっ……ぁんっ……!……なんで……こんな事で……ひあぁっ!」

「あららぁ? 偉そうなことさんざ言ってたのに、もう我慢出来なくなってきちゃったのかな? ストラちゃん?」

「うっさいっ……んひゃッ! こ……こんな程度じゃなんて事っ……ひぃんっ!!」

「おぉ、よしよし…お前に『お返し』したい事は、ここから先まだまだあるんだからなぁ。この程度で今更謝られても困る所だったよ」

「こ……の変態マスタっ……んぎいぃひひひひぃッ!?」

ストラが罵倒の言葉を飛ばそうとした瞬間に、マスターは綿棒の細い先端を彼女の臍の中に差し込むようにして、スピーディに回転させる。
キュルルルと、気持ちの良い音を立てながら回るそれがストラに送り込む強烈なくすぐったさは、彼女の言葉を中断させるには十分なものだった。

「おっとっと、口を開くときには気を使うんだぜストラ? 無駄に体力使いたく無いだろぉ?」

「はぁあんっ……!……くそぉっ……ぃひひっ……!」










「さて、と。下準備としちゃこんなモンかな。」


それから少しして、ストラの身体を延々と嬲る様になぞり続けていた棒が、すっ、と離される。

「……!?……ぇぅっ……!……っはぁ……はぁ……」

唐突に治まったその刺激に意識が反応するより早く、ストラの身体は、急激に失われた酸素を求め、荒い呼吸を繰り返す。

喉が焼けるように熱い。抵抗を続けた腹部が、限界を訴えて悲鳴を上げているのが彼女には判る。
時折喉に絡みつくねっとりとした唾液が、ストラの喉に絡みつき小さな嗚咽を漏らすが、今の彼女にはそんな事の一切を気にしている余裕は無かった。

「っはぁ……はぁ……っ」

一体、どれほどの時間が経過したのだろうか……

途中から呼吸をするのに必死で、ストラは、時間など気にする余裕すら無くなっていた。
体感だけでいうなれば、もはや永劫とも思える時間でこそあったが、流石にそれは有り得ないという事くらいは、彼女のぼやけた思考でも理解が出来た。

そんなストラの心境を知ってか知らずか、彼女を苛む悪魔の声が、彼女の頭に木霊する。


「ここで丁度20分、って所だな。まだまだ序の口だけど、そんな調子で大丈夫かなぁ? ストラちゃん」


その言葉を、蕩けた意識の隅で拾い上げながら、ストラは愕然とする。

彼の放った言葉を俄かには信じられず、彼女は、鉛が入った様に重い身体を必死に動かして、部屋の壁時計に目を向けるが、
その針は無情にも、先刻の言葉が嘘では無いという事実を告げるだけであった。

(嘘だ……! あんなに辛かったのにっ……!……まだ……たったのこれだけなの……っ!?)


ストラは、自身の先刻の発言を、早くも後悔し始めていた。

つい先ほどまでの、主曰く『下準備』の程度の責めですら、ストラは耐えるだけで精一杯で、今、全力で体力を保持する事に努めなければいけないような有様だ。
そんな息も絶え絶えの状態になるまでの時間が、およそ20分。これからひたすら続くであろう耐える時間の、ほんの20%以下の時間でしかない。

いや、それすら甘い認識だ。『耐えられる程度の刺激』しか送られてこなかった、というのが正しい。
マスターがその気になれば、先に一瞬行われた臍責めの様に、一瞬にしてストラを狂わせる様な事も、簡単に行えるだろう事も、彼女には判っていた。
そんな地獄を、今の5倍の時間、耐え抜かねばならない。


その絶望を目ざとく察知したのか、愕然とするストラに対して、マスターから、今一度、蜘蛛の糸が垂らされる。

「はい、それじゃここでもっかい、謝るチャンスをやろうか。俺からの貴重な譲歩だぜェ? 良い子になれよ、ストラ……?」

先ほどと同じ警告。先ほどと同じ内容。
きっとこの男は、自分がそれを受け入れれば、嬉々として自分を解放し、悦に浸るだろう。
きっとこの男は、自分がそれを拒むのならば、嬉々として自分を狂わせ、悦に浸るだろう。

そのどちらもが、ストラにとっては癪な話。
自身に刃を向けたこの男が最終的に満足して終わるなど、彼女が許せる訳がなかった。

ならば、取るべき手段は一つ。

「ふざっけん…なっ……! この程度…何ともっ……ないっ……!」

限界まで虚勢を張り、壊れかけた声帯で必死に抗う。
こんなもの……『永遠に感じる程度』の時間、自身が耐え切れば良いだけの話だ。
本当の『永遠の屈服』に比べれば、そんな程度どうという事はない、とストラは必死に自身を奮い立たせて、次の責めに望む。





「いーいーねー……さてさて、んじゃそろそろ、ちょっと強めにいきますよォ?」

品のない薄ら笑いを上げながら、マスターは、ストラを苛む為の、次の道具を選出し始める。
次に彼が道具箱から取り出したのは、ストラも、日常で良く見慣れた道具であった。


「んっふっふ……お次はコイツ、電動の歯ブラシだぁっ!……ってもう流石に説明は要らないよな? 安心しな、俺が何時も使ってる奴じゃーないぜ。
 お前の掃除用にわざわざ買ってきた奴だ。全く、神姫の為だけにこんなモンまで買ってくるだなんて、俺はなんて優しいマスターなんだろうなぁ? ストラ」

にやにやと、実に楽しそうに、ストラに見せびらかす様に、大仰にアピールし、そのスイッチを入れる。
その歯ブラシの震える音は、今の彼女にとっては、今にも自分を喰らわんとする、魔物の鳴き声か何かに聞こえただろう。

ストラは覚悟を決めて、その刺激に身構えようとする、が。



「ほらよっと」

先と違い、今度は唐突に、その責めは始まった。
おもむろに、ストラの腋の下に、唸りを上げるその拷問具を差し込んだのだ。


「~~んひぃぁああぁっ!? ああぁっははははあぁっあはははっ!? ぃいああぁぁああーーっはっはっはははっ!
 みぎぃぁああああぁああぁあああっははははははは!! ぅひゃいいやぁああーーっはっはっはっはっ!!」

ストラは、自身にその刺激が与えられたことを、一瞬認識すらできなかった。
それでも、その意思とは無関係に、身体は敏感に反応し、どこにそんな体力が残っていたのか不思議なほど、大きな笑い声を上げながら暴れ始める。

新たに彼女に与えられたその刺激は、先の決断を、意思をあざ笑うかのような凄まじく強烈で、いやらしい物であった。

本当に、先ほどまでの責めが『下準備』であった事を証明するかのように、その電動触手の送り込む歪んだ笑いの衝動は、
ストラの体力を、決意を、彼女の想像していた以上のスピードで奪い取り、汚し、犯していく。

彼女の意思も、思いも、何の関係もない。ただひたすらに、抗うことすら許さない暴力的な刺激。
急激に、覚悟の隙間を縫って始まった責めは、ストラの理解を超えるくすぐったさを、休みなく彼女へと流し込む。

「ぅふぅううああああぁぁあああっはっはっはっはっは! くひぃいぁああああああっああっはっはっは!
 なにこれぇぇええぇへへへへへへへっ!? なにこれええぇぇえあぁぁあーっはははっははははははっはっは!?」


マスターは、その刺激がストラに与える強烈な苦痛を確認し、満足げに表情を歪めた眺めた後、
彼女に更なる苦痛を与えんと、その無防備に晒された脇腹と、閉じようにも閉じられない、その無毛の腋の下。
その両方を同時に責めるかの様に、震えるその歯ブラシを、上へ下へと移動させ始める。

無論、先の刺激にすら未だ思考の追いついていないストラに、その新たなる刺激を受け入れられる訳もない。
それでも、彼女の限界などお構いなしに、ただただひたすらに、新たなる狂おしいほどの刺激は送り込まれ始めた。

「ぎぃひひひゃぁぁああぁぁぁあははははっははははっははっあぁぁぁあぁぁ!?
 いきなりはあぁぁああぁはははっ! 卑きょぅうふふふふぃひひっひひひひぃいっ!! ひぃいぃああぁああはははは!!」

「おー、なんだよ、可愛い声出せるんじゃーねーのさ。さすがやればできる子だなストラ!」


神姫の身体と比べれば明らかに大きすぎるその震える毛は、ストラの身体を高速で撫でるだけでなく、時に揉む様に、時にひっかく様に、時につつく様に、
まるで一本一本が意思を持った生き物であるかの様に、多種多様な手段で、彼女を責め立てた。

「ぅいぃぁあああははははぁははっはは! ぅうああーっはっはっはははははははははぁああぁ!」

脇腹を、100の手にぐにぐにと揉みしだかれる度に、喉が壊れんばかりの絶叫を腹の底から吐き出しながら、自身の苦しみを全身で訴え。

「くるしいっひひひゃああぁはははっはははぁ! くるしいってばぁぁあっはははぁああぁぁあぁっ!」

腋の下を、100の手にしゃりしゃりとひっかき回される度に、その小さな身体をよじって、一瞬でもこの苦痛から逃れようと、無意味にもがき続ける。

「息ができぃいいいいぃぁひひひひひひひひ!! 息できなあぁぁあああぁああはははははははははっっ!!」


その苦しみはいったいどの程度のものか。
例えば今、ストラを責め立てるその毛が仮に一本だったとしても、疲弊した上で身体が敏感になっている今の彼女では、耐えられるかも怪しい所である。
その刺激がざっと数百。しかもその全てがほぼ完全にランダムに、加えて複数の場所を同時に、休みなく、その笑いの衝動を送られ続けているのだ。

もはや、耐えるだの以前の問題であった。
ただひたすらに、くすぐったい。苦しい。それらの歪んだ刺激から逃れる事に全力を向ける以外に、今の彼女に考えられることは何もなかった。

(このままだと壊れるっ……! ほんとに壊れちゃうっ! くすぐったすぎる! くすぐったすぎる! くすぐったすぎるぅっ!!)


延々と感度の上がる、その身体。
延々と奪われ続ける、その体力、そして尊厳。

四肢の自由を完全に奪われて、反撃する事も、防御する事も許されず。その強烈な刺激に、耐える事すら許されず。
自身の望まぬ笑い声に阻まれて、言葉を発する事も、まともに息をすることすら許されない。

ストラに今、唯一許されているのは、ただひたすらに笑いもだえ、狂い、自身を責め立てる主に、自身が望まぬ悦びを提供することのみ。
そんな、生物をしての尊厳を全て否定され続けるかの様な責めが、一瞬の休みもなく続くのだ。

そんな残酷な刺激に、何の変哲もない、普通の少女の精神が、そう長く耐えられる訳もなく。
彼女はとうとう、自力で『耐える事』を放棄し始める。せめて『防御』を、と。

ストラは、唯一自由に動かせるその首を、ぶんぶんと狂ったように振り回しながら、自身を苛む刺激の主に、プライドを限界まで捨てて懇願する。

「うでぇええっへへへへぇええぇ! かえしぃひひひっひぃっっ! 返してええぇえぁぁあっはははははっははは!
 おねがいだからあぁぁあああぁぁっっはっはっははははぁ! んっっぅあぁああーっはははっはははあはははっっ!!」

「だーかーら、それなら俺が最初に言った言葉をきっちり復唱しろって」

だが、それに応えるマスターの声は、『全てを差し出せ』と、そう告げる。
ストラの中で、超えてはならない、もはや命にも等しいその意地を、彼女が譲れる訳も無いと知りながら。

「やだっぁあぁははははっはははっ! 絶対にぃぃっぃぃいやだぁぁあああぁあああぁぁぁははっはっはははっ!
んぁああぁああぁぁあっっはっはははははははは! ぃやあああぁぁああぁーーっはっはっはっはっはっはっはっ!」

「あ、そう?」


マスターが、そう素っ気無く告げると、再び唐突に、ストラの身体を、新たなる刺激が襲い始める。

「~~ぅふうぅぅううっっ!? おなかはぁぁあああぁはははぁぁ!? おなかいやだああぁぁあーっははっはっはっはっっ!!
くしゅぐったぁぁああああぁぁあはははっははっはは! むりぃいいぃひひひひひひひひっ! ひゃああぁあんあぁぁっははははははは!!」

腋の下、脇腹、そして今度は、腹部。
ちょうど『L』の字を書くようにしゃこしゃこと動かされるそれが往復する度に、彼女にまた、耐え難いくすぐったさが湧き上がる。

「嫌だ嫌だと注文の多い奴だなぁ…まぁ、いやだいやだも好きの内、ってねぇ!」

「ぃやだやだやだッやぁっだっぁあぁああーっはっはっは! 好きじゃにゃぁあはははははははっ! きらぁっっきらぁいぃぃいひひひああぁぁああっ!
 ――んッひぁあぁああぁああぁあぁっっ!? ぎひぃぃいやぁああああああぁぁああ゛ーーっっはっはっはっはっっ!?」

その細い毛の一本が、その愛らしい、小さな臍の中に入り込んで、残酷に震え、彼女を掻き鳴らした。
その、身体の芯を貫くかの様な鋭い刺激に、一瞬彼女は驚いた様な、上ずった悲鳴を上げた後、今までよりも更に大きく、甲高い声で笑い始める。

「にしてもうるっさいなぁ……もーすこし静かに笑えないの? お前」

「そっぉほほほっ! そんなの無理にぃひひっひひひ! 無理ぃいぃいひひゃああぁははっははははっはっは!
 ぃひひひひひぃーーぃいいあぁはははははははははあはは! うあぁぁあああああぁあぁっっはははははははははっっ!!」

「流石にちょっと煩いなぁ……」

ストラの体力が、いよいよ限界を迎え始め、意識を手放しかけた、その瞬間。

マスターの手が、ふと止まる。
本当に笑い声が煩かっただけなのか、余りの悲鳴に哀れさを感じたのか、それともはたまた別の何かが理由かは解らない。

だが、今のストラに取っては、その理由など、どうでも良いことであった。

(終わっ………た………の………?)


歪んだ笑いの中で願い続けた、この苦しみからの開放。
恐らくこの開放も、一時的なものであろうことは解っている。

それでも、今のストラに取っては貴重な、ほんの僅かな救いの時間であった。






「はぁっ……はぁっ……ぅぇ……っ!」

頭を振り回し続けた結果、ぼさぼさに乱れた髪も、延々と笑い続けて、開きっぱなしだった口から溢れた涎も、頬を伝う涙も、
その一切を気にする余裕すら、今のストラには無かった。

彼女の脳は、その思考の一切を放棄し、生物の本能に従うままに、空気を貪るように、大きな呼吸を繰り返す。

『ははっ、お疲れ様だぜストラ、良く辛抱したなぁ? 今でだいたい1時間だぜ。さすが俺の神姫だ、頑張るじゃあないか。』

(ここで……半分………っ)

今のストラには、ニヤニヤと自身の痴態を見下しながら、嫌味ったらしく時間を告げるその主に、言葉を返す体力すら無かった。
だが、それも当たり前と言えば当たり前だ。

呼吸という、生物が生きていく上で、本来自動的に行われるであろう、前提となる生命維持の活動。
だが、今彼女の受けているこの責めは、その『前提』を削ぎ取り続ける、それこそ、『死』の苦痛を与えるものなのだ。

その、1秒たりとて耐えられぬ時間を、およそ1時間も、延々と与えられ続けた。

一体それがどの程度の地獄なのかは計り知れない。
が、彼女の体力も精神も、いつ限界を迎えても何の不思議も無い程の状態であった。


だが、そんな事は全く関係ないといわんばかりに、その質問は、再び繰り返される。

「んじゃ、もっかい聞くぞ? 謝るのか、それとも謝らないのか?」

この質問を否定すればまた、あの苦痛が繰り返される。
きっとその行為は、この後も続けられるのだろう。
何度でも、何度でも、彼女の心が完全に屈服するまで。

その程度の事は、今の彼女にでも解っていた。

「ぜったいっ……にっ……謝る……もんかぁっ……はぁっ……はぁっ……げほッ!」

正直に言えば、もう謝ってしまいたかった。

1分1秒が、その心身を引き裂く、地獄の様な時間。その入り口の扉を自分で開かなければならない恐怖。
それらの思考が、彼女の決意を鈍らせる。

だが、今の段階で、予定の時間の半分は過ぎたのだ。
もう一度、もう一度だけ、同じ時間我慢をすれば、自身の尊厳を、守り通す事ができる。
その事実が、折れかけた彼女の心の、最後の希望だった。




「おいおい……マジで言ってんのかぁ? 意外と粘るなぁ。さて、となると次は……これにすっかな」

そういってマスターが取り出したのは、先程と同じ様な形、そして大きさをした機械。
だが、形状こそ似ているが、よく見ると先端部分が決定的に違うのが見て取れた。
その棒の先端には、円の様な『何か』が、平行に取り付けられている。

ストラが、怪訝そうな顔でその道具を眺めていると、またマスターがその『拷問具』を、したり顔で解説し始めた。

「ハンドグラインダー、って聞いたことあるかストラ? とりあえず、簡単に言っちまえば研磨装置ってヤツだ。
 ……ま、長々とめんどくさい説明は省くけど、今回は先端部分はお前を傷付けない素材を選んだから、安心するといい!
 お前がぴっかぴかの新品同様になるまで、たっぷり堪能させてやんよォ……!」

マスターが機械の横に付いているスイッチを入れると、異形の装置が、唸りを上げて回転し始める。

「ひぃっ……!」

その、自身の身体と心を削る装置の音に、耐えられずにストラは耳を塞ごうとするが、今の彼女には、その程度の自由すら与えられていない。
思わず彼女は、反射的に恐怖の悲鳴を漏らす。

そしてマスターは、ストラの本体、そのすぐ傍に保管してある、彼女の『右脚』を、摘み上げるようにして手にして、にたりと、歪んだ笑みを浮かべた。

「さて……何されるかは検討ついたよなァ? 謝るなら、今だぜ?」


神姫の身体は、人間の様な電気信号に代わり電波で制御されている為、ある程度の距離なら、自身のパーツが外れていてもその感触を感じることができる。
その例に漏れず、ストラは自身の脚が、異物によってがっしりと捕まれる不快な感覚を、しっかりと感じていた。

だが、その感触を感じる場所を見ても、そこには何も無い。
それがあるのは、再び自身を苛まんとする、彼女の主の手のひらの上である。

次にされるであろう事は、容易に予測できる。その事実は、ストラの心に一瞬だけ『屈服』を思巡させるには十分であった。


「っ……それ……は……」
「あ、っそ」



だが、ストラがその質問に解答を出す前に、唸りを上げるその道具は、一瞬の躊躇いも無く彼女に噛み付いた。

「――ぅうぇぁっぁああぁっっははははっはっは!? あしぃっ!? あしいぃいいぃぃいぃぃひひひひひひひひ!
 ちょっとおおぉおおおぉおほほほほほっほほほほっ! ちょっとまってぇえええぇぇええええええええぇぇぇぇっ!」

一瞬、ストラは、自身の足から下が、本当に喰われてしまったのではないかと疑った。それほどまでに狂おしい刺激だった。
その足裏から昇る凄まじいくすぐったさは、一瞬で彼女の理解を超え、思考を奪い、その体力に関係なく、反射的に苦悶の叫びを引きずり出す。

「まってぇええぇえぇぇえええぇええっへへへへへへへへへ! まってってっばああぁあぁああっはははっはははは!
 ぅひゃぁああああぁぁぁあぁーっはっはっはっはっは! んっっぎぃあぁああぁああぁーっははははっはははははっ!」

「さすがにキクだろォ? わざわざお前の為に買ってきたブラシ型の砥石だぜ、これ。
 ……ってこんな話、さっきもした気がするなぁ。ま、俺の神姫への愛は語れど尽きぬ、ってね」

送られてくるその刺激は、削るというより、本当に『くすぐり』といった表現が正しいものだった。

その回転する手は、ストラのその小さな足裏に機械の無慈悲さと正確さをもって、想像しうる限りのありとあらゆる種類のくすぐったさを送り込む。
がりがりと爪を立てるような。かりかりと削ぎ取るような。ぬるりと舐めるような。ぽりぽりと掻くような。
その全ての刺激がないまぜになった、訳のわからない位に強烈すぎる刺激が、高速でその足裏から次々と這い上がり、彼女の心を容易に犯していく。

「きつっいぃいひひひひひゃぁあははははは! これぇえぇええっ! ッきついよおぉおぉおおぉぉおおぉほほほっっ!
 ぅぎぃいいいっひひひひひひ!! しぬぅうううぅうぅっふふふふふふふふふっ!ほんとにしぬぅっっぁあははははははははははははッ!!」

「きついも何もメンテナンスだし、最後まできっちりやらんとなぁ……?」

「ほんとうぅっああぁぁぁああぁあぁっははははははははははッ! ほんとにっ無理ぃッぎぃああぁあぁーっはははははははッ!
 ぃやだぁぁあぁぁああぁあぁぁあっっはっはっはっはははは! くるしっっくるしいいぃぃいぃぃひひひひっひひひひひひひひ!」

(守らなきゃっ!出来ないっ!逃げたいっ!出来ないっっ!くすぐったいっ!腕ぇ!足ぃぃ!返しっ!無理っ!くすぐったいぃ!
 息がっ!苦しい!壊れるっ!壊れちゃうっ!くるしぃっ!息ぃぃ!!くすぐったい!くすぐったいっっ!くすぐったいぃッ!!)


自身を苛む、頭をかき回すような刺激から一瞬でも逃れようと、ストラの身体は無意識に、そして懸命に足を守ろうと試みるが、
その意識とは裏腹に、守るべき足も、守るための手も、本来自由に操れる筈のものは何ひとつとして、今の彼女には残されていない。
ストラは、その苦悶の刺激の激しさを表すかのように、何の残された身体をびくびくと震わせ、唯一自由に動かせる首をぶんぶんと振り回し、
あらん限りの声を上げて叫び、悶えて、狂った様に笑いを絞り出し続ける。

どれだけ足掻こうが、叫ぼうが、彼女の切実な願いは何処にも届かず。
彼女を苛む主の意思は、望む必要もないくらいに、容易に達成される。
その圧倒的なまでの立場の差は、絶望感となって、彼女の心にゆっくりと、そして確実に蓄積されていく。

「まぁ、ぎゃーぎゃー言っても、駄目なモンは駄目だーってのよぉ……ほれ、んじゃ関節部、いきますよぉっと」


そうぼそりと呟くと、マスターは彼女の足裏の中心部、人間でいう土踏まずの所に、その回転する手を、ぐいっと押し付ける。

神姫の足裏の中心は、足首から下の稼動部の中でも一番大きく稼動する場所であり、それと同時に、一番衝撃や刺激に敏感な部分でもある。
そこからストラに送り込まれる刺激は、人間の土踏まずなどという、生易しいレベルではない。
そこに回転する手が差し込まれると、ストラの喉の奥から、絹を引き裂いたように甲高く鋭い悲鳴が上がった。

「まんなかぁああぁああぁははっははあぁああっ! そこずるいぃいいぃひひひひっ! もうっっやっあぁっやだあああぁあぁッ!
 ぅうっあっぎぃっひひひひひひひひひひひひひひぃっ! ッんあ゛ぁあぁああああぁっはっはっはっはっはっははっははははははッ!」

その、足先から脳髄までを駆け抜ける、おぞましい程のくすぐったさ。
彼女の足は救いを求めてぱたぱたと暴れ、その指先は刺激の激しさをほんの少しでも緩和させようと、大きく開いたり閉じたりを繰り返す。

だが、その程度の抵抗で自身の足を苛む壮絶なくすぐったさから逃れられる事はとても出来る訳もなく、
ほんの、ごく少し程度の、気の紛らわし程度にしかならないのが事実であった。

「やっぱ改めて見るとすげーなぁ神姫って……足指の一本まで完璧に動いてるし……どーいう技術なんだろうなぁ……
 でも……駄目だぜストラァ? 足指そんなに丸めてたら、ココが磨けないっしょ?」

「ぅふぁっ、あ、ひっ――」

もうこの刺激に、抵抗できなくても、逃げられなくても、耐えられなくても構わない。もう、どうしようも、ない。
だから、せめて、ほんの少しでも良い、一瞬だけでも良いから、この刺激を誤魔化したい。目を逸らしたい。
そんな、ほんのごく些細な気の紛らわしですらも、彼女の主は見逃してくれなかった。

マスターはストラの小さく愛らしい足指を摘み上げると、ぐいっと、その足を大きく反らすようにして押さえつける。
ストラは、急に自由の利かなくなった足指に戸惑い、反射的に全力を込めて丸めようと試みるが、神姫の力では、人間の力に及ぶわけもない。
彼女の最後のせめてもの抵抗、最後の切実な足掻きすらも、まるで路傍の花の如くあっさりと摘み取られる。


そして、今度こそ本当に無防備で、本当に無抵抗になったストラの足の、指の少し下の、小さく膨らんだ部分。

そこに、回転する手が、すっと宛がわれた、その瞬間、

「――っっぎぃひぁあああぁぁああぁッ!? ぅあ゛あ゛ああああぁあぁぁあぁっっ!! ぎぃぃいぁあああぁあぁあっはっはっは!!
 そんなぁぁああぁあっっはっははははははは! そんなのぉっひきょうだってばぁあぁーっっはははぁあははは!」

彼女の身体を巡るその空気を、全部全部纏めて喉から一滴残らず搾り出したかの様な絶叫が、大きく部屋中に響き渡る。

ぎしぎしと、マスターの押さえているストラの足指から、必死に防御を求める、悲鳴のような音が聞こえる。
その反応を見るに、ここが彼女の弱点の一つであろう事は、間違いない様であった。
それを証明するかの様に、彼女から、もはや笑い声というより、叫びといった方が正しいであろう、凄まじい苦悶の声が上がり続ける。

恐らく、彼女が仮に万全だったとしても、数分も耐えられなかったであろう、それほど残酷な刺激。
既に先の責めで、半ば体力的には限界を迎えているストラにとっては、そのおぞましい刺激が送ってくる歪んだ笑いは、本当の地獄と呼べる苦しみだった。

「っう゛ぇっあぁっはっはっはっはっはっははははははははッ!! んぎぃぃッひゃっぁああああぁぁあはははははははははははは!
 無理ッっだってっばああぁぁぁあぁああひひゃっひゃっひゃッ!! 狂っちゃうぅうううぅうぁぁあっぁあっああぁあぁあああぁぁぁッ!!」

「おー、暴れる暴れるぅ……でも残念、俺の頼みは聞けないんだよなァ? つまり、このままずっとこうされるのが良い、って事とイコールな訳だ。
じゃあ俺はマスターとして、可愛い神姫の身体を張った意見を、最大限尊重してやるのが筋ってモンだろ。くっくっく!」

全ての抵抗を奪われ、弱点を延々と嬲られるストラを見て、その主は、満足そうな笑顔を浮かべている。
その瞳に、夏虫の命を奪って遊ぶ子供の様な、無邪気で残酷な色を携えて。


「くるっしぃいッひっひっひひひひひひひひッ! ひぃぎゃぁっはははははははははあはははははははははははッ!
 もうッっぅふふふふふふっ! もうホントにひいっひゃぁははははははははは!! ホントにむりだからあぁぁあぁぁあぁーーっっはっはっはっはっはっはっはッッ!!」


ストラは、自身の頭を焼く凄まじい苦悶の刺激に、限界を超えた精神力で必死に抗いながら、
閉じられぬ口の端からだらしなく涎を垂れ流し、ぼさぼさに乱れた髪で、瞳を伝う涙すら気にする様子もなく、懸命に、懸命に、自身の主へと、最後の救いを呼びかける。
どう足掻いても抑えられぬ歪んだ笑い声の中で、必死に懇願の言葉を紡ぐ。

凄まじいくすぐったさによって歪んだ笑顔に引き裂かれた続けたその顔には、当初の愛らしさの面影など微塵も残されてはいない。
だが、その命の最後の一滴を搾り出したかの様な、健気で、儚げに叫ぶ姿は、見る者が見れば美しさすら感じるであろう、そんな姿だった。

もはや半ば無駄だと解りつつも、それが彼女の最後の、本当に最後の、救いだった。


「無理ぃ゛いいぃぃいぃぃぃいいぃひひひひっっ! それダメぇえぇぇええぇぇぇぁぁっははは!!
 たすけぇぅえっへへへへへ!いやだぁあぁああぁぁぁ! んっぎぃ゛ああぁぁああーっはッはッはッはッ!!
 ゆ゛るしてえぇぇぇえっへっへっへっへっへへへへへへ!! おねがいだからぁぁああぁぁあーっっははははははははははッ!!」

(息ができないっ!動けないっ!我慢できない!辛いっっ!苦しいよぉぉっ!もう許してっ!もう助けてぇぇっ!お願いだよぉ!お願いだからぁぁっ!!)

「助けねーよ?」


「ほんとにこわっれぇぇええあぁああぁはははははは!! こわれちゃうぅぅうぉあぁぁあ゛ぁぁあぁぁはははははははは!!
 ゆるぅッッくぅあああぁぁはははははっははははは!! ゆるしてぇえ゛ぇぁあぁぁあぁぁーっっはっはっはっはッ!!
 ホントにぃいいいっひひひひっひひひ!! ホンットにっぃいぃ゛ぃひぁぁぁああぁはははっはっっはっはっはっはッ!!」

(もう本当に無理だっ! しぬよぉっ! 本当にしんじゃうってばぁッ! くすぐったい! くすぐったいくすぐったいくすぐったいぃぃッ!!)

「壊さねーよ?」

だが、その主の紡ぐ言葉は、淡々と、本当に呆気なく、その最後の望みすら、摘み取る。



その時、ストラは自身の中で、何かの切れた音を、聞いた気がした。

彼女にはもはや、何の希望すらも残されていなかった。
何をしても、何を叫んでも、その全てが徒労に終わる虚しさと絶望感。

その絶望に、彼女の心も、誇りも、意地も、何もかも。本当に粉々に、砕け散った。

(くすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったい!――もう……駄目…だ………こんなに苦しいのは………もういやだよぉ………っ)



「ごめんにゃあぁぁあ゛あぁあははははっはっはっは! ごめッんな゛さぁいいいいいぃぃいいぃぁぁあっあははははッ!!」

「なァ~にぃ~? 聞こえんなァ~……?」

彼女は必死に、ただ必死に、謝る。もはやその尊厳など、微塵も残っていないかの様に。

「ごめんなさぁああぁはははっはあははあはは! ごめんなさいぃひひひひひひひっひっひ! ごめんんあ゛ぁああぁあっははははははははははッ!」

苦しい、ただただ、辛い。この地獄から一刻も早く逃れるためだけに、狂った機械の様に、許しを請い続ける。


「ふーん。やっとそれなりにマシな謝罪の言葉が出てきたな。流石俺の神姫だけあって、やればできる娘だな、うんうん!」

そして、その言葉を聞いて、満足そうに大きく頷いたマスターは、ストラの足に押し付けていたその回転する装置を、あっさりと引き離し、
その装置を、静かに停止させた。




(おわった……こんどこそ本当に……たすか……った……っ)


ストラは、急に自身を苛む事を止めた刺激に、まだ身体が追いつかない。
その『行為』は終わった筈だが、未だにその身体は、先ほどまでの責めの過酷さを物語るかのように、時折びくんびくんと震えていた。

だがストラは、その苦悶の時間が終わった事に、本当に、心から安堵していた。
心を折ってしまった、折れてしまった、自分の意思を曲げてしまった。その事に後悔が無い訳ではない。

が、それでも今は『終わった』という事実が、ただひたすらに嬉しかったのだ。


虚ろな瞳で、本当に機械のように呼吸をくり返すストラに、
待ってましたといわんばかりの楽しげな表情で、マスターは、言葉を告げる。

「1時間と42分、それと32秒か。ま、本当によく持ったなぁ。流石俺の愛しい神姫だ。
 さてと、だ。んじゃぐったりしてる所悪いんだが……あんな程度の謝罪で俺が満足すると思ってねぇよな? ストラちゃんは。
 折角手を止めたんだから、言うなら今がチャンスだぜ?」

本当に、これで、終わったのだ。
ストラは、荒い呼吸を必死に抑え、最後の力を振り絞り、『屈服の言葉』を、復唱する。

「いままでのっ……今までの暴言愚行の数々……大変申し訳っ…げほッ…ありまぜんでした……
 これからは心をいれかえて……誠心……誠意……あなたさまのために……尽くします……っ!」

その言葉を聞いて、マスターは、先程までの、陰湿な笑みではなく、
本当に心から嬉しそうな、そんな屈託の無い笑みを浮かべた。

「OKOK……今俺は、とても満足しているッ!寛大な心で、特別に許してやろうじゃあないか……!」

「もう……いいでしょ……っ! さっさと……ボクを……元に戻してよぉっ……!」

「さて、ということでストラ、本当にお疲れ様だったなぁ……! それじゃ、こっから先は」

(…こっから…先……?……)




「罰ゲームの時間だぜェ……?」

自身の主は、今、いったいなんと口にしたのか。
頭がぼんやりとしているせいで、幻聴でも聞いてしまったのかと思い、ストラはマスターの方を呆然とした表情で見やった。

「え………っ……」

「何驚いた顔してるんだ、勘違いするなよ? 確かに、お前は俺に今までのさんざんな態度を詫びはしたけどさぁ……
 自分の言った事すらきっちり実行できない神姫が、この先、戦っていける訳ないだろ?」

主の言葉が進むたび、ストラは、自身の身体から、血の気が引いていくのを感じる。

「自分の発言を途中で曲げるような軟弱なヤツは、俺の神姫達にはいないんだよ。だから、ここから先は俺の、いわば愛情ってヤツだ。
 お前には、自分の意思を貫けなかったヤツがどういう事になるか、きっちりと教育してやんよォ……」

そう一言告げると、マスターは、作業机の一番下。
大きな引き出しの中から、その『装置』を、ゆっくりと取り出した。


「どんなボロボロの神姫だろうが、ほんの2、30分で新品同様まで磨き上げちまう、神姫全身メンテ用のクリーニングマシンだ。
 ちと値は張ったけどなぁ。こんな事もあろうかと、注文しておいて良かったぜェ……!」



それは、異様な装置だった。

例えるならば、それは……箱。神姫一体くらいなら、すっぽりと、軽々呑み込んでしまえる程に大きな、箱。

箱の中身は見えないが、それはきっと『全身メンテナンス』の為の機械なのだろう。

その『中身』を想像したストラは、かたかたと震え始める。
その瞳からは、くすぐったさから来る物ではない、本当に心からの、恐怖から来る涙が浮かんでいた。

「や……やめて……っ……もう嫌だっ……!」

ストラは、これから行われるであろう、『その行為』から何とかして逃げようと、搾り出すような声で、許しを請う。
だが、これは『拷問』では無く、『罰』なのだ。

「が……! ダメっ……! 残念でした……! 今度は謝っても許されません……!」

ゆえに、許される訳もない。
これから行われるであろう行為そのものが、彼女が許される為の、『罰』なのだから。

「おっ……お願いだってマスタアァァァッ! ボク良い子になるからっ! マスターのこともう馬鹿にしたりしないし!
 おやつ戸棚から勝手に持ってくのもやめるからぁっ! ちゃんとバトルにも勝つし、言うこともちゃんと聞くからぁぁぁあ!
 だからッ! だからやめてぇッ! こんなのっ! ボク本当に本当にしんじゃうよおぉぉッ!!」

「言うこともちゃんと聞く……かぁ、そーかそーか、それは良い心がけだなストラ。なら、俺から最初の命令だ。
 この中入って、おとなしく『メンテナンス』されて来るといい……! 大丈夫だって、くすぐりで壊れちまうなんて事、ありえねーからよ……多分な?」

「いやだあああぁああぁぁぁッ!! くすぐったいのはもういやだよおぉおぉぉぉおぉぉッ! 助けてマスター! ごめんなさいぃッ! ごめんなさいぃぃッ!!
 やめてよぉぉおッ! ゆるしてぇぇぇえッ! ボクが悪かったからあぁあぁああぁぁあっ! やめてえぇぇぇぇええぇえぇぇぇぇぇえぇっっ!!」

ストラの口から、堰を切ったように懇願の言葉が溢れ出す。
耐える事も受け入れる事も放棄した、彼女の口を抑えるものなど、もう何もない。

「だから、謝ってももうダメだって……言ったろォ?」

だが、その懇願は、もう決して、届くことはない。
彼女の主は、箱の上部にある蓋を開け、無情に、無造作に、次々と、彼女のパーツを入れていく。


最後にその箱に入れられた、彼女の身体と首は、
そのおぞましい『箱』の中身を、涙で滲んだ瞳で、見てしまう。

その箱の壁面に、びっしりと据え付けられた、『グラインダー』を。

「あ……あ……っ」

その光景を目にした瞬間に、ストラの懇願が、詰まる。


そして、その箱の上から覗く、彼女の主。
その口から、最後の『罰ゲーム』の始まりが、告げられた。



「それじゃ、綺麗になったらまた会おうな、ストラ」



起動する為のスイッチが入れられたのだろうか、箱の中の研磨装置が、一斉に回転し始める。

その一つひとつは、彼女の、柔らかそうな脇腹を、扇情的に窪んだ腋の下を、美しいアーチを描く足の裏を。
首を、耳を、臍を、尻を、背中を、太ももを、膝とその裏を、内股を、二の腕を、掌を。

おおよそ思いつくであろう全ての場所を、丹念に、丹念に掃除し始めた。

「――ん゛ッ、ッッあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁああぁぁあ゛ぁぁぁぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁあぁあぁッ!?
 そんなぁぁぁぁああ゛ぁッ!そんなトコまでえええぇぇぇぇぇえぇぇえぇっっへへへっへへへへへへへへへへ!?
 や゛めて゛えぇぇえぇぇぇぇぇぇぇえぇぇえぇぇえぇッッェェぁははははははっはははははははははははははッ!!」

マスターは、そんなストラの最後の絶叫を聞いて満足したのか、すっ、と箱の蓋を閉じ。
『メンテナンス』が終わる、その時が来るまで、部屋を去る。
 
「ふぅぅう゛ぎひィィぃああぁぁぁぁあぁああぁぁあああっははっははははははははあぁぁあッッ!
 う゛あ゛ぁぁぁあぁあッ! ぅあぅッッあ゛ーーーーッははははっはあははっははははははッッ!!
 んぎィぃッひっひっひっひっっひっひっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!
 っっぐるッッじいぃいいいいぃひいひひひひひひゃあぁぁぁぁぁああぁぁあぁあははははっはあはははははははッ!!
 マズダあぁぁあぁぁぁあぁあぁあッッ! だすけてぇぇぇぇえぇぇぇえぇぇえへへへへへへへ!! やめ゛てよぉぉぉぉぉおほほほほほっほほほ!!
 もう゛じゅうッぶんだからあ゛あぁぁぁあぁぁぁ!! もうきれいにな゛ったがらああぁぁっぁぁあぁぁぁーーーッッっはっはっはっはっはッ――


――蓋を閉じてしまえば、もう中の音が聞こえる事もない。
  助けを呼ぶ声も、許しを請う声も、叫びも、喚きも、悲鳴も、絶叫も、笑い声も。

 「それじゃ、願わくばまた後で会おうぜェ、ストラ。本当に本当に、それこそぶっ壊しちまいたくなるくらい、お前のことが大好きなんだよ、俺は、な」
  
  最後に彼が呟いたその言葉も、恐らく彼女には聞こえていないだろう。


  彼女が開放されるのは、まだ、先の話になりそうだ。
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