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富豪と奴隷とマシーンと 後編























「ふむ、極東の衣服は合わないとも思ったが、なかなかどうして、似合うじゃないか」

 洗浄マシーンが停止し、ぐったりとして表情で帰ってきたセフィーナが、豪華なテーブルに座って酒を飲んでいたルーマンから貰ったのは、腋の部分が露出した白の白衣に赤の袴、極東で巫女服と呼ばれる衣服であった。
ただ、彼女はこういう服を見た事すら初めてで着方がわからなかったので、使用人に着付けて貰った(さすがに室内なので素足だが)。

 その表情は弾んでいるようにも見える。奴隷時代は服と呼ばれる者すら渡されなかっただろうと思うので当然と言えば当然か。

 ルーマンにしてみればとりあえず適当にあったそれをその場しのぎで投げつけ、後で自分好みの物を買うつもりであったのだが、それがここまで似合うとは彼自身思ってなかった。
 ふむ、と軽く頷くと、巫女服をしげしげと見つめるセフィーナに対して。貴様は今日からそれで過ごせとセフィーナに命令を飛ばす。

 はい。と軽く首を上下に揺らして肯定の意を示すと、ルーマンは満足したように頷く。

「さて、では早速今日のお前の仕事をしてもらおうか」
 
 はい、ご主人様(ルーマンは彼女に自分の事をそう言うように指示した)と、頷いたセフィーナは、ルーマンが指差した部屋の隅に置いてある物へ視線を流す。
 そこにあったのは、黒い大きな箱だ。前面に二つの柔らかい材質で出来た穴が開いているのに目を瞑れば、みてくれは金庫に見える。

「穴が開いているのが見えるな? あそこにお前の足を片方ずつ入れろ」

 有無を言わさない声色でセフィーナに指示を飛ばす。何が何だかわからないが、とりあえず入れろと言う指示に従うため、セフィーナは床に座り、箱にあった二つの穴にそれぞれ片方ずつ、足首と中間地点の間の位置で入れた穴の部分が来るように足を伸ばす。どうやら、足に負担をかけないようにそこだけ柔らかい材質で出来ているようだ。冷たくも、痛くもない。
 
 今の彼女の姿勢を傍的に説明するならば、壁に背を預けていない長座体前屈の膝を曲げた状態と言ったのが一番近いだろう。とにもかくにも、彼女はルーマンに言われた指示通りに従い、彼の望む通りに行動した。

 瞬間、彼の口元が歪んだのが見えた。それに加え、彼のポケットの中からカチッという何かの機械的な音をセフィーナの尖った耳が捉え、今の音は何なのですかと質問を飛ばす前に、彼女が伸ばしていた足が優しい何かに包まれた。

 ふえ!? と何が起こったかわからないような可愛い驚きを漏らすと、彼女は先ほど感じた違和感を覚えた場所を目視する。そして原因を察知する。先ほどまで二回り程、足より幅があった穴が彼女の足を固定するように圧縮したのだ。

 なるほど、この為にこの部分だけ材質を柔らかくしたのか、と、セフィーナは理解した。しかしどうしてこのような事をするかが全く分からない。納得が出来ない。
 
「あの、ご主人様、これは……」

「貴様の足を入れた箱の上に鍵穴がついてるのがわかるか? そしてその横に無数の鍵が入ってる箱があるのも。その無数の鍵の中から一つだけある正解の鍵でそこの鍵穴を開け、見事正解ならお前の足がその箱から解放される。そしたら今回のお前の仕事は終わりだ。適当に休んでるといい」

 立て板に水のように捲し立てるルーマン。その説明に若干目を白黒させながらも、セフィーナは箱に目を凝らし、確かに上の部分に何かを差し込めるような小さな穴があるのを見つけた、また、セフィーナの左手側に百以上もの鍵が入った小さな箱があるのも確認した。

「あの、これのどこが仕事なんでしょうか……」

「ああ、貴様は一般的な奴隷としての仕事はしてもらわんよ。貴様がしてもらうのは」

 私に美味い酒を飲ませるための肴だ。セフィーナの耳は、小さく呟かれたその言葉を聞き逃さなかった。

 わからないまま彼に質問を飛ばそうとした途端、セフィーナの足に刺激が伝わる。それは、風呂場で散々味わった感触に非常に酷似、いや、味わった感触そのものであった。

「ひぅ!? あっあひひひっひひひ……ご、主人……さま、これは…………あふ! ふひゃぁ!?」

「さあ頑張れよ。精一杯足掻いてもがいて、本能のままに暴れる様を私に見せてくれ」

 彼の遊びが、始まる。

「あふっふひひひ……あ、あしに足に何か……んく、くひひひひひひ」

 セフィーナの足の裏に、ニュルリとした触手のような何かが触り始め、彼女をくすぐり出したのだ。それは触れられる大きさから察するに、一般的な男性の親指程度の太さ。それらが彼女の足の裏を無遠慮に触れているのだ。

 おおよそ足首と膝の中心という極めて中途半端な位置で固定されてるが故に、セフィーナはその箱の中に何があるのかを触れて確かめることが出来なかったのだ。だから、その箱の中に何があったのかを、彼女は知る。そういう物が潜んでいて、さっきのカチリという音で活動しはじめたのだと。

「ひぃ……ひぃ…………これ、これぇっっっんひゃぅ!! はぅ!! んぁ! きゃひっ! はひっ! ぷっくくくくくく……」

 触手はツンツンと軽く触る程度のやんわりとした刺激で、先ほどの洗浄機程の圧倒的なくすぐったさはなく、セフィーナは時折小さな悲鳴を上げるも、大きく笑い出すことはなく、少しながらも我慢することが出来た。
 けれど、目では見えない所から予期せぬタイミングで予期しない部位に降りかかってくる感触は辛いのか、モジモジとくすぐったそうに身を捩らせ、足の指をクネクネと上下に動かす。

 勿論、足首も出来る限り振ってみるが、触手の数は多く、どこへ足の裏を逃がしても確実に触手は触れ、突きまわし、ゾクゾクとした感覚を送り込んでいく。

「ぁん! ぁふっふひひひ……んくぅ! はひひひひひ……ひゃん! ひゃっあくくぅぅう~~~~!!」

「そこで悶えていても、一向に状況は好転しないぞ。そこから脱する手段を、俺は教えた筈だ」

「うっんくく……! は、はいっひひひひ! ご、しゅじん……さまぁ……はぅ! うくく、か、かひひひひひひ!」

 ルーマンの言うとおり、鍵を箱の上にある小さな穴に嵌め込まなければこのくすぐりは止まらない。
 セフィーナは手を伸ばして鍵をいくつか適当に引っ掴むと、鍵穴に差し込もうと挑戦する。

「んっんひひ……ぷふっ、ふひゃはっはひっ! ひぃぁぁ……ち、ちがう……これじゃなっっんぁ! ぁぅううっっくひひひひひ! くく……んくくくくっ!」

 カチャカチャと音を立てながら、差し込めるかどうか頑張ってみたセフィーナが、そのどれもが当て嵌まらない。
 最初に掴んだ鍵が全て違うと判断すると、それらを適当な場所に放り投げ、また無数の鍵が置いてある箱の中から無作為にいくつか握りこみ、先ほどと同じように開くかどうか試しにかかる。

「ひひ……んひひひひひ! や、やぁぁ……あくく……あ、かない…………ッ! ふぁ!? ふぁひひひひひひ! あ、あいてくださぃい! くふっ! んふぅぅうう!!」 

 徐々に我慢も限界が来ているのか、頬を赤くさせ、若干笑みを零しながら鍵を差し込もうとするが、結果はハズレ。思わず落胆したくなったが、そうも言ってられない状況。すぐさま気持ちを切り替え、また新たに握った鍵で開けるかどうか挑戦していく。だが、どうにも時間がかかりすぎていた。
 純粋に鍵の形が紛らわしいので上下反転させて改めて差し込まなければいけないのもそうだが、何よりくすぐったさが邪魔して手元が狂い、上手く差し込みに失敗しているかどうか自信が持てないのだ。

 それ故不必要にも二回三回と差し込もうと無駄な努力を重ね、結果、順調にくすぐったさが彼女の身体に溜まりこみ、我慢の壁を押し破るくすぐったさという名の水の圧力が増していくのだ 
 
 もどかしい。くすぐったい。もっと早く出来ればいいのに。でもくすぐったくて早く出来ない。

 そうしたくすぐったさを含んだ苦悶を顔に浮かばすセフィーナ。だが、それはその顔つきを浮かべるのを期待してルーマンが仕込んだ陰湿な遊びだという事を彼女は知らなかった。
 彼女は知らないままに、彼が思うとおりの表情を浮かべている。もどかしさとくすぐったさの二つが良い具合に混ざり合った、苦しそうな笑顔を。
その事に彼は非常に満足気な笑みを口元に浮かべ、グラスに注いだ酒を喉へと運ぶと、再び彼女の無様な踊りを観賞する。足の裏から絶え間なくやってくるくすぐったさと戦いながら、鍵穴と格闘するその美しいぐらい淫らな姿を。

「クク、そんなにゆっくりでは、日が暮れてしまうのではないか? それでは酒もなくなってしまう。もっと手早くやったらどうなんだ」

 ニヤニヤとしながら彼がそんなことを発する。やりたくても出来ないのを承知の上で、だ。

「うくく……ぷくくくく! わ、かってますっよっんはひひひひひ! くひぃい! ひぃっひぃいん! こ、これもちがうぅぅふふふふ! つ、つぎぃひひひひひ!!」
 
 ルーマンの煽りのような発言にも応対しつつ、彼女は用済みになった鍵を床に無造作に捨てながら、また箱に入ってる鍵をがむしゃらに掴む。まだまだ箱の中の鍵の数は相当な量であったが、使い済みになった鍵の数も十や二十ではないため、着実に前へと進んでるのをセフィーナは実感する。
 
このまま行けば、そう遠くない内に解放されるだろうという考えも出てきた。

 そう思うと、体に自然と力が入るのを感じた。勿論、くすぐったさをどうにかすることは出来ないし、長時間くすぐられると我慢がきかなくなって、鍵を開けるどころではなくなるのも己の身体故に何となく自覚しているが、今の順調さ具合から推測するに、くすぐったさに負ける前に鍵を開ける事は出来るだろうと、そう考えていた。

―――――――――――――――――――――――――

「ひぃ……ひひひひひ! くぅっくくくぅっんうぅぅう!! ふぁ……ふひひひ! く、くすぐったいですよぉぉ……ひゃん! ぁぁぁあん!」

 くすぐったさに苦しみながらも、どこか余裕を持っている雰囲気をセフィーナが纏っているのを、ルーマンは長年の勘で感じ取った。
 その余裕が、どこから来るのかも彼はおおよそ察しがついた。おそらく、このまま頑張ればそう遠くない内に解放されるのだろうとか、そんなことを考えているのだろうとルーマンは思考を巡らす。

「んく……くぅぅ!! こ、れも……ちが……うぅ! あひ! ふひひひひひ!」

 だが彼は、ルーマンは、彼女に安息を与えることはしない。
 これは、彼が飽きるまで続ける遊びなのだから。そんな簡単に終わらせては、それこそ興醒めなのだ。
 故に、彼は服の中に忍ばせてあるくすぐり箱の起動スイッチを弄り、その第二段階目を発動させる。彼女の希望を、絶望へと変える為に。

 彼女に新たな苦しみを。
 耐えられない程の苦痛を。
 どうしようもないくすぐったさを。

 足の裏から無尽蔵に伝わってくるそれに翻弄される彼女の姿で、酒を飲むために、彼はセフィーナの視線に映らない所で。
 ゆっくりとそのボタンを押した。

「ひぅっっひぃいい!? あ、あ、あ、あっっ!! あぁぁ~~~~~~ははははははははははは! あ、あは! あはははははは! あははははははははは! そんな急にっっきゅうにぃいいい~~~~~~~!! あはははははははははははははははは!!」

 ボタンを押した瞬間、セフィーナの反応が急に激しくなった。今まで我慢していた反動が来たのか、思いっきり大声で笑い始め、その拍子に持っていた鍵を零し、持ち上げていた身体を横に倒して右に左に動き回って悶えている。

 あの様子だと、穴に入れた足もくすぐったさに耐えきれないか、逃げさせたいかして、がむしゃらに暴れさせているのだろうと彼は思慮する。だが、その成果が出ていないのはその反応を見て明らかだ。それに、その程度で逃げられるほどあの玩具箱の性能は悪くない。と、彼はそれまでの奴隷達があの箱に苦しめられていた様を見てきたが故の判断を下す。

「く、くくくくくすぐったいぃいいいい!! くすぐったいですぅうううふふふふふ! ふああああはっははははははははははははは!! あ、あしぃぃいい!! あし、ぬいてくださあああはっあはははははは!! やぁあああはははっはははははははははは!」

 セフィーナは、膝から上、拘束されてない部分をユサユサとこれ以上なく揺らしながら悶えてルーマンを楽しませた。敢えて自由を与えておくことで、動き回る姿を見ることが出来る。
 クネクネとくすぐったさを逃がすように踊り続ける様子を見るのは実に楽しい。そしてそれら全てが徒労に終わっているというのだ。楽しくない筈がない。
 彼女はひたすらにくすぐったさを逃がそうと無駄な頑張りを見せ、身体を動かし続ける。その頑張る姿は彼の本能を刺激する程に艶めかしい。実に滑稽だ。


「あはっははははははは!! やぁぁああ!! やぁあああああああはははははっははははははははははは!! ご、しゅじんさまぁああははっはははははは!! やめてくださっあひゃひゃひゃひゃ! もうひゃめへくらはひいいひひひひひひひひひひひ!!」

 笑い声に交じって懇願が飛んでくる。だがそんなものを聞く気は最初から彼はなく、ただ口を横に歪めるだけであった。
 さて、次に泣き言が飛んでくるのはいつだろうか。あと数回泣き言が飛んできたら、あの箱の三段階めの機能を発動させてやろう。

 グラスに酒を注ぎながら、そんなことをルーマンは考えていた。


「あしに、あしににゅるにゅるしたものがぁああはっははははははははははははは!! や、やぁぁああっはははははははは!! うひゃはははははははは!! むりいい!! たえられないぃいひひひひひひひひひひひひひひ!!!」

―――――――――――――――――――――――――

 急に足の裏をくすぐる刺激が大きくなった。今までつつくだけ、しかも一度に一本、二本しか触ってこなかった触手が、突然躍動しだした。
 
 触手の先端を使って、グリグリと足の裏の中心部分を押し込むように、また足の裏全体に触手を轟かせるようにくすぐってきた。
 触手は人間がもっともくすぐったいと思うだろう硬度と軟度で出来ており、それらが突然意思を持ったかのようにハッキリとした、相手がくすぐったがる動きで足の裏を責めだしたのだ。それによってセフィーナは我慢が出来なくなり、持っていた鍵を落として笑い悶え始めた。
 
 ブンブンと足の裏を出来るだけ振って、触手の攻撃範囲から逃げようと努力する。だが、それも無駄に終わった。十本二十本と三十本と今まで数十倍もの触手の数が同時に襲い掛かってきているのだ。右へやっても、左へ逃がしても、触手はセフィーナの足の裏へ触手をくすぐったがるように土踏まずへ押し込んだり、指と指の間を擦ったり、足の裏全体を複数の触手で突きまわしたりとして、決して彼女に休息を与えなかった。

「ひぎゃああははははははははっはははははははははは!! に、にげられないぃいひひひひひひひ!! くるしいですぅぅふふふふふふふ! ふひゃはああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! や、ぁぁああああ!! んぁああああん!!!」

 ニュルリと淫靡な音を立てながら触手が彼女の素足を撫でる度、セフィーナの身体は強く跳ね、その反動が笑い声となって口から溢れだしていた。箱の中で無数に轟いている触手群は僅かに粘液を帯びており、それらが彼女の足に擦り付けられる毎に、摩擦がなくなっていき、さらにくすぐったさが増大していく。
 それに加え、先ほどの洗浄マシーンによる洗浄効果がここに来て現れてくる。彼女の足の裏に付着していた汚れを落とし、さらに敏感化させ、触手によるくすぐりをより感じやすくされていたのだ。その苦しみは先ほどのマシーン以上で、セフィーナは狂ったかのように叫び続ける。

「あっあっっあっっっあぁぁぁあ~~~~~~!!! いひゃああははははっははははははっはははは!! よ、よして、よしてくらひゃひひひひひひひひひひ!! ひぁぁあああはははははっはははははっはははは! いやぁあああああん!!」

 バンバンと床を叩きながら、セフィーナは足の裏からとめどなく送られてくるくすぐったさを何とか誤魔化せないかと足掻きつづける。
 くすぐったさで笑いだす前に握っていたいくつかの鍵は既に放り投げられ、今まで使ってきた鍵と紛れ見分けがつかなくなっている。だが、既に床に無差別にばら撒かれている鍵の中から、さっきまで握ってた、使ってない鍵を見分ける判断力など残っているとはいいがたく、またセフィーナにそれを探す意思も残っていなかった。

 眉を深く垂れ下げ、緑髪を振り見出し、ボロボロと泣きながらセフィーナは開けたくもない口を強制的に開けさせられ、出したくもない笑い声を無理やり捻り出させられ、悶笑し続ける。

 今、彼女に残っているのは、この苦しみから逃れたい。その一心のみである。
 
「ぁあああはははっはははははははは!! も、もうだめですぅうふふふふふふふふふ!! だめっだめだめだめぇえええへへへへへへへへへ!! 指の間こすっちゃらめれふぅうふふふふふふ!! そ、そんな沢山、やぁああはははははっははははははは!」

「ほら、何をやってる? さっさと鍵を開けないとその苦しみからは一生解放されないぞ、そこで悶えてないで頑張れよ」

「あ、あははははははは! はいっはぃいひひひひひひひひひ! わ、かりまっっし、んぁああはっははははははははははははははっははははは!!」 

 だが、その苦しみから逃れる術は一つしかない。ならば、どれだけ苦しくてもやることは一つだけである。

 セフィーナは身体をガクガクと痙攣させながら手を伸ばし、箱の中に合った鍵を乱暴にいくつか引っ掴むと、箱の上にある小さな鍵穴に鍵を差し込もうとする。

 が、そこで問題が発生した。彼女にとって、致命的な問題が。

「あっあぁああはっははははっははははははは!! 手が……ぶれてぇえええっっいやああはっははははっははははははははは!! 無理ッ入らないぃいひひひひひひひひひひ!!」

 そう、あまりのくすぐったさに手がブレるのだ。静止に努めようと思っても、視界外から襲ってくる不意のたまらない刺激に体はどうしてもビクンと反応してしまい、鍵穴に差し込もうとした手がずれ、カンカンと箱のあらぬ所を叩いてしまう。

 そうした事が作用して、セフィーナの開錠作業はくすぐったさが激しさを増す先ほどよりも圧倒的に時間がかかり始めた。少し前なら、数分で四つ五つ挑戦できていたが、今は一つの鍵すら終わっていない。

 笑う事によって思考力が、集中力が多大に削がれ、足の裏から送られてくる様々な種類のくすぐったさがビクビクとセフィーナの身体を否応なく仰け反りさせ、作業を捗らなくさせる。それどころか、持っていた鍵すら辺りにばら撒いてしまい。用済みとなった鍵と混ざる。
 混ざったのを探そうとしても、鍵の形状はどれも非常に酷似しており、今の濁った集中力では、とても判別出来そうにない。
 そう言った悪循環が、彼女を包み込んでいく。

「ご、ごしゅじんさまぁああはぁああはっははははははっははははははは!! む、むりですうぅうっっ!! 開けれませんっっぎゃひゃぁああははははははははははははははは!! あは! ぎひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」

 最早何回目になったか、数えるのも億劫になるぐらいの懇願をルーマンに飛ばすセフィーナ。
 けれど、そこから送られてくるのは機械の停止ではなくただの傍観、もしくは酒を飲む音だけ。助けてくれたことなどない。そしてそれは今回も同様だった。
 このまま、またくすぐられながら鍵を開ける作業を続けるしかないのだろうか。そう思っていた矢先、またもルーマンが見ている方角から、機械的なカチリという音が聞こえた後、変化が訪れた。

「いっいひゃぁぁああああぁぁあああ!? あ! あっ!! あ゛あぁああああはははっはははははははははは! ちょっやめっなんですかこれぇええへっへへへへへへへへへへへへへ!!」

 黒い箱の側面、その至る所から、白い手のようなものが無数に伸びてきたのだ。
それらはワキワキと指を上下に轟かせており、それらが織りなす光景はセフィーナに浴室で行われたあの悪夢のような数十分を思い出させる。
 ただ違うのは、それらが浴室のよりも半分以下の小さい手だということと、浴室のあれとは数倍以上の比べものにならないぐらいの数だったという事だ。
 
 小型のマジックハンドは一斉に、彼女の方へ手の指を向け、見せつけるように指を動かし続ける。それだけで彼女の脳裏にはくすぐったさが思い起こされ、軽いパニック状態となってしまっていた。

「こ、こないでっこっちこないでくらひゃひひひひひひひひひひひひひ! あ、あんなのたえれませんってばぁあああははははっはははははははは! ゆびっうごかさいないでええええええ!! あぁああはははははははははははははははははは!!」

「ああ、それは奴隷がいつまで経ってもそれの処理が終わらない場合の罰としての機能だ。そのマジックハンドは出現してから数十秒後にお前の身体に襲い掛かる。解除したければ、黒い箱を止めることが出来る鍵とは違う別の鍵を、黒い箱の側面に出てきた鍵穴に差し込まないと止まらない。そして『それを解除するまでの間。黒い箱の鍵穴は閉じる』つまり、まずはそのマジックハンドを箱の中に返さないと、箱にある鍵穴は閉じ困ったままだ。要するに、頑張れってことだ」

「そ、そんな……そんなぁあああああああはははっははっはははははははははは」

「そして、変化はマジックハンドだけじゃないぞ。箱の中も、だ」

「いひひひひひひゃあああはははははははははは! は、はこのなかはははっははは!?い、いったいなにがあわひゃぁあぁあぁあああああああああ!?」

 ルーマンの言葉の意味が掴めなかったセフィーナだったが、その回答を彼女は自身の身体で思い知った。
 彼女の足の裏を責めていた触手がくすぐり方と連携を学習したかのように、新たな責めを開始しだしたのだ。
 無数の触手が彼女の足首に巻きつき、さらに指一本一本にそれぞれ触手が絡む事によって、彼女の足の裏の動きを一切封じてしまった。
 
 そこから、逃げるという選択肢を失った足の裏に向けて、無数の触手が殺到する。ある触手はカリカリと先端を若干尖らすように変形し、引っ掻くようにくすぐり、ある触手は足の指の付け根をじっくりと舐め回すように責め立て、ある触手は踵を優しいソフトタッチで突きだした。

「っっ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!! ぁぁあ゛あ゛はははははははははははははは! うごかせないの、いやでずぅうう!!  いや! い゛や゛ぁああああはああはははははははははははははははははは! あ゛ははははははははは!」

 まさかこれ以上苦しい刺激は足の裏からは来ないだろうと油断していたセフィーナは、声にならない悲鳴を上げた。その悲鳴は、秒を刻むごとに笑い声が混じって行き、ついにはくすぐったそうに笑う声のみとなって、彼女の口から響きだしていく。

 そして遂には膝に手を持っていき、なんとかして引っ張り出せないかと腕に力を入れて頑張ろうとしたセフィーナだが、穴は完全に彼女の足を拘束しており、引っ張り出せる気配はなかった。それどころか、足に集中が行ったセフィーナに対して、今度は伸びていたマジックハンドが襲い掛かる。
 先ほどルーマンが言っていた、待機時間。言い換えて、セフィーナの絶望の表情を眺める時間が過ぎたのだ。

「ひぃ!? ひぅっっひぁぁぁあああああああああああ!! あ! ぁぁあああはっはははははははははははははは! ちょ、だめです! おおすぎぃひひひひひひひひひひひ! あ、だめ!! むりっむりぃいいひひひひひひひひひひひひひ!!!」

 マジックハンドは、瞬く間に彼女の全身に群がり、コチョコチョと今にも擬音がしそうな速度でセフィーナをくすぐり出した。マジックハンドは服越しであることを前提に強さを調節されているのか、全くくすぐったさを軽減されることなく彼女の身体をビクビクと震わせ始めた。

 こうなると、セフィーナに鍵を掴むという行動は出来なかった、あまりにもくすぐったすぎるのだ。

「か、かずがっかずがぁあああはっはははははははははははは!! はらえないぃいひひひひひひひひ! ひひぃぃいいひひひひひひひひ! や、やぁああああああああ!!」

 バシバシと両手を可能な限り振るい迫ってくるマジックハンドをいくつか振り払うが、その数はあまりにも膨大。
 例え二つ三つ払った所で、迫ってくるのは五十や六十の数なのだ。それでは焼け石に水でしかない。
 そして、残った無数のマジックハンドは彼女の防衛線を突破し、肢体にからみつき彼女の防御を崩していく。そして、払われたマジックハンドも数秒と間を置かずに彼女の身体に再び接近し、その肌を巫女服越しにくすぐっていく。

「やぁぁああああああああ!! 足だけでっっ限界ですからぁあああはっはあはははははははははっはははは!!! だめ!! こちょこちょしないれぇえええへへへへへへへへへへ! くすぐったいですからぁああああああははははっははははははははは!!」

 身体をどう捩じっても、マジックハンドは絶えず彼女の身体に追従し、コチョコチョと轟く指で彼女に振れ、存分に悶えさせた。

 特に、腋だけが開いている巫女服の構造をいいことに、マジックハンドは器用に脇の下に潜り込み、素肌を直接弄り始める。それだけで彼女は体制を崩し、床に倒れジタバタと身を暴れさせながら悶える。
 床に身を預けながら身体をくの字に曲げ、防御姿勢を取っているが、彼女の熱を帯びた頬に苦しそうな笑い顔が一向に取れてない所から、通用している様子は伺えなかった。

「は、はかまのなかはいってこないれええええええええ! 直接らめぇええへへへへへへへへへ! わらひっおかひくなっひゃぁあぁぁあああ!? あひゃああひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! おかひくなっひゃいまふぅううふうふふふふ! あはははははははは!」

 腋の下を守ろうと頑張っている間にも、マジックハンドはその小ささを生かして、彼女の袴の中に安々と侵入し、今度は他の部位の素肌を弄りはじめる。

 わき腹、お腹、背中、太もも、どれもが想像を絶するくすぐったさを誇っており、彼女を鳴かすには十分すぎる刺激だった。
 反射的にお腹に手をまわして防御態勢を取れば、開いた背中を無尽蔵に這い回られる。そこに意識を持って行かれて背中に手を持っていけば、こんどは伸ばされたわき腹に集中してくすぐり責めが行われる。

 柔肌全てに降りかかってくるくすぐったう感情を防御するには二本の腕ではあまりにも薄すぎた。

「だめえええへへへへへへへへ!! こんなたくさんやめひぇええへへへへへへへへへへへへへ!! やら、むりっむりでずってばぁああはははははははははははははははははははははは!! ぁあああははははっはははははははははははははは!!」

 最終的に、彼女は腋をキュッと締め、マジックハンドの侵入を許さないようにした。そこだけしか、守れなかった。
 それをいいことにマジックハンドは全身を、触手は足の裏を好き放題に蹂躙する。
 マジックハンドを防ぐ手段は消費しており既になく、足の裏はもとより存在せず、彼女はルーマンが仕組んだとおりに悶え、笑うしか残されていない。
 
「何をやってる、さっさと箱の中にある鍵なりばら撒いている鍵なりを使ってそのマジックハンドを解除しないか。さもなければ貴様はいつまでもそのままだ。助かりたければ手を動かせ」

 苦しい! 助けて! このままじゃ死んじゃう! 本当に死んじゃう!!! くすぐったい!!! そんな考えが彼女の頭で反復しているのを知ってか知らずか、ルーマンはさらに地獄のような要求をセフィーナに叩き付ける。
 だが、脱出方法が他に無いのもまた、事実なのだ。それがどれだけ茨の道であろうとも。

「ああああはっははははっははははははははは!! むり、わかるわけないですよぉおおおおお!! あっあぁああははははははははははっはははははははははははは!!」

 やるしかない。でも、まさかここに来て、捨てた鍵がもう一度命を吹き返すなど想像もしていなかったセフィーナ。箱の中の鍵を取るのは、今の精神力ではとても無理だ。鍵を取る前に体が崩れて、床で悶えるだけとなってしまう。そんな予感があった。

「う゛ぎゃぁああああああはははははははははは! む゛り゛!! のばぜない゛ぃいいいいい!!! わ、わきにはいりこんでえええへへへっへへへへへ!! いや! ぎょわひゃああああはははははははははははははははははははははああはははは!!」

 だからセフィーナは、床に散らばっている鍵から頑張ってみようとした。
 そう思って、腋を守るために締めていた腕を、一番手近なところに置いてあった鍵へと手を伸ばす。
 瞬間、マジックハンドはこぞって彼女の開いた腋に侵入し、グリグリとこねくり回したのだ。

 それだけでセフィーナは笑い狂い、伸ばしてた腕は急速に元の位置へ戻った。その拍子に目と鼻の先にあった鍵は遠くへと弾かれ、次の一番近い鍵は、彼女が腕を張る程度に伸ばさないと取れない位置にまで、距離が遠のいていた。
 それを見たセフィーナは、くすぐったさで頭がどうにかなってしまいそうだと思いながらも、渾身の力を振り絞って腕を伸ばす。

「ひっひぎゃぁあああああははははははははははははは!! あっだめ、だめえええへえへへへへへへ! くしゅぐっだい゛いぃいいいいいいいい!! ぎゃひゃはははははははははははははははははははあっはあはははははははははは!!」

 同時に、マジックハンドが腋へと一瞬で群がり再び無防備となった付け根の部分をコチョコチョとくすぐってくる。彼女は大声で笑いながらも、涙を流しながらも、精一杯我慢を押し通した。
 そして取った。
 後は、起き上がるだけ、起きて、この鍵を黒い箱の側面にある鍵穴に差し込めるかどうか挑戦するだけ。そう奮起して、全身をくすぐられる身体を起こそうと力を入れる。が。
 
 体は、既に限界を迎えていた。

「あっあ゛ぁぁあああああああああああ!!! か、からだおこせなっおきあがれないぃいひひひひひひひひひひひひひひ! くすぐったすぎてだめへへへへへへへへへへへ!! コチョコチョひゃめへくらはぁああああぁい!! いぎゃああはははははははは!!」

 そう叫びながら、セフィーナは身体を横にしながらモジモジとくすぐったそうに身を捩る事しかできない。
 起き上がって、手を伸ばして、カチャカチャと挑戦して開くかどうか試す。試して、そのカギの向きが違う可能性を考慮して、反転してもう一度試す、そんな長い作業をこんなにくすぐられながら出来る訳がない。
 だから。
 もう。
 彼女は、ただ好き放題くすぐられるだけの状態となった。
 救いのない。
 この状況で。

「おねがいですぅうふふふふふふふふふ!! たすけったすけひぇえええへへへへへへへへへへへっへへ!! ぁぁああああああああああははははははははははははははは!! ち、ちからはいらにゃいぃいひひひひひひひひひひひ!!」

―――――――――――――――――――――――――

「やっやっっやぁああああ!! いや、いやぁあああああああははははははははははははははははは!! し、しぬ! しんじゃいますううううううふふふふふふふ!! くるしいいひひひひひひひひ!! ぐぎゃあああははははははははははははは!!」

 マジックハンドの終わらない苦しみに喘ぎ続ける奴隷の姿は、えらく扇情的だった。エルフの奴隷は、今まで私がこの箱で見たどの奴隷達よりも新鮮で敏感な反応をしてくれる。

 ああ、実に素晴らしい。これこそが私が見たかったものだ、と、彼は満足げに嘆息する。数億の金を払った価値もあったものだ。と。思いに耽る。
 そして彼はポケットの中に仕込んであった二つの鍵を弄りながら。

(マジックハンド解除の鍵と、箱の機能停止の鍵、その二つが、あそこの中にないなんて、あいつは知らないんだろうな)

 クククと笑いながら、箱に向かって足を伸ばした時の彼女の表情を思い出す。たかがそれだけなのかと言うような表情だった。だが、それは時が経って徐々に過ちだと気づき、いずれその顔は苦悶に満ちた顔つきへと崩れ去っていく。ああ、堪らなかった。今日からしばらくは彼女でいろんな機械で遊んでやらなければな。と、ルーマンは翌日以降の彼女の仕事について考えを巡らしていく。

「ぎゃひゃあああははははははははははははは!! もういい! もうい゛い゛からぁあああはははははははははははははははは! なんでもする! なんでもするからこれとめてくださぃいいひひひひひひひひ!! ぎひゃぁああ!! んぎゃあははははははははははっははははははははっははは!!」

 ん? と、それまでの思考を放棄し、ルーマンは急に笑い声が大きくなった彼女の方を見やる、まるで線香花火が燃え尽きる直前に火が増すように、叫び声が一段と大きくなった彼女は、その身も一層と振り回し、これ以上にないぐらいに官能的なダンスを踊りながら身悶えていた。
 先ほど例えた花火のように、彼女の身体は限界が近づいているようにも見えた。
 それを見届けながらルーマンは、
 さて、いつ気絶するかな? と、
 そんなことを考えるのであった。
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No title

続編希望

No title

ん?いまなんでもするって(ry

乙でした!流石炭酸さん!いけめん!!

No title

セフィーナさんと(ry
本当に素晴らしいくすぐりでした! 今度はちゃんと夜に読んだ!
こういうゲーム的なくすぐりも大好きなのも相まって堪らなかったです、えぇ。足の裏徐々に強くなるのも全身くすぐりももう最高です。
ルーマンさんマジどS、こうしてセフィーナさんは敏感な子になっていったんですね。
ありがとうございました、続編希望、続編希望。






……まぁしいていうなら最後がなんでもするから→ん?の流れで笑いそうになってしまいましたけどね!!
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